1話5分で読めるギリシャ神話

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処女神アルテミスの厳粛なる掟

アポローンとアルテミス、ニオベーの子供を射殺
ヨハン・ボックホルスト〈アポローンとアルテミス、ニオベーの子供を射殺〉

アルテミスは、アポローンと双子です。

ギリシャ神話では、処女神はアルテミスとアテーナだけです。アルテミスは狩りが好きで、男神や人間の男には一切興味がありません。女神を崇拝するニンフたちもみな処女で、狩りが好きです。アルテミスのエピソードを見ていると、あまりにも頑なで一途な少女のようです。その性格は、母神レートーから受け継いでいます。

処女神アルテミスの厳粛なる掟

「神の掟」には、愛や思いやりがありません。いや、愛や思いやりは存在しないのかもしれません。なぜなら、宇宙(神)の支配は、寸分の狂いもあってはならないからです。ちょっとした狂いが、大きな狂いを生み、崩壊へと導くからです。だから、「神の掟」は人間には計り知れない遥かな高みにあるのでしょう。

今回の絵画は、〈ニオベーの悲哀〉を描いたものです。上の1枚を除いて、アルテミスの部分を切り取ってみました。その表情を、あなたの目で確かめてください。ローマ神話では、アルテミスはダイアナあるいはディアーナと呼ばれています。女神を描いた絵画では、頭に月の飾りを付けています。

アルテミス、ニオベーの子を射殺
〈この不気味なアルテミスの顔、微笑んでいます〉

唯一、アルテミスがポセイドーンの子である漁師オリオーンに惚れたのがよく分かりません。ひょっとすると、この恋が成就しなかったトラウマが、女神の心を愛情から遠ざけてしまったのかもしれません。

オリオン座〉参照

青年アクタイオーンの悲劇

鹿狩りをしている時、アルテミスが水浴している泉に迷い込んでしまったアクタイオーン。女神は、すかさず彼に言い放ちます。
「さぁ、できるなら、このアルテミスの裸を見たとふれまわるがよい!」
すると、アクタイオーンは鹿に変身させられ、最後には仲間の青年と猟犬に殺されてしまいます。

アルテミスは神ですから、覗きに来たのではないことくらい分かっていたはずです。女神の頭の中は「わたしの裸を見られた」ことだけなのです。とても大人の女性の対応とはいえません。
「見たでしょ!もっと見たい?」なんて、とても言えないのがアルテミスなのです。

鹿になったアクタイオーン〉参照

アルテミス、ニオベーの子を射殺1
〈まさに、狂気じみています〉

カリストーを熊に

ゼウスがアルテミスに変身して、女神を崇拝している従者の一人カリストーを妊娠させます。彼女のお腹が大きくなり、妊娠がバレてしまいます。激怒したアルテミスは、カリストーを熊に変えて追放します。ゼススが自分に変身して、カリストーを妊娠させてことには気づいていなかったかもしれません。が、女神の決断には、ためらいは微塵(みじん)もありません。
のちに生まれたカリストーの子供をアルカスといいます。この親子が「大熊座」と「子熊座」になりました。

おおくま座:カリストー〉参照

アルテミス、ニオベーの子を射殺2
〈狩りを楽しんでいるかのようです〉

ニオベーの子供14人を射殺!

ニオベーは、群衆の前で言い放ちました。
「どうしてレートーなどが崇拝されて、私はなんの敬意も払われないのか?私には7人の息子と7人の娘がいる。が、レートーには2人しか子供がいないではないか」

激怒した母神レートーは、アポローンとアルテミスに
「私は今日までお前たち2人を誇りにしてきました。大神ゼウス様の妃ヘーラー様を除いては、けっして他の女神に劣らぬと思っています。その私が、今や自分はほんとうに女神なのかと疑い始めています。お前たちが母さんを守ってくれないと、人間たちの崇拝をうばいとられてしまいます...」

この時、母神レートーは誰をどうしろとまでは言わなかったのです。ですから、ふつうに考えれば、ニオベーさえ殺せば良いと思われます。子供には罪はありません。しかし、双子の神は、ニオベーの子供14人全員射殺しました。

レートーには、双子に水を飲ませようとして、農夫たちに水を濁されたことがあります。すかさず、その農夫を全員カエルに変えてしまいました。

レートーの怒りには理由がありますが、その報復の即断には迷いがありません。

最後に、いかがでしたでしょうか。アルテミスの冷酷さが、感じられたでしょうか?

ニオベーの悲哀〉参照

レートーと蛙になった農夫〉参照

アルテミス、ニオベーの子を射殺3
〈優しい顔で、子供を狩る〉